ADHDにおける食事要因

①ω-3とω-6脂肪酸サプリメント

 ADHD児には血漿と赤血球中の長鎖多価脂肪酸が健常児に比して少ないと報告されています。その可能性のある機序としては、必須脂肪酸の摂取不足、必須脂肪酸から長鎖多価脂肪酸への代謝の減少、長鎖多価脂肪酸の代謝の増加と言われています。

ω-3とω-6脂肪酸サプリメントを使った試験では、ADHDのADH Scale-L/ADHD>0.5 SD の改善があり、3~6ヵ月のフォローアップ期間では、読みの改善は期待された3倍、書きは2倍効果があったされています。しかし、逆に一般的なADHDの薬は効果がなかったと報告されました。ただし、当初の目的であった協調性の改善は認められていません。一方で、ADHDの症状を減少出来た報告もありますが、認めなかったとする報告もあります。

ほとんどの親はサプリメントに熱心であるが、効果の可能性があるだけで証明はされていません。

つまり、低い長鎖多価脂肪酸濃度とADHDの関連性に同意はするが、ω-3とω-6脂肪酸サプリメントの効果は証明されていないと報告されています。


②砂糖, アスパルテームとADHD

アメやダイエットソーダの過剰摂取後に多動の悪化を訴える親からの報告がしばしばあります。単発の報告はありますが、大多数の研究では砂糖とアスパルテーム関連性は示されてません。  

 ある研究では、就学前と学童期に、親から砂糖、スクロースやアスパルテームを高度に含む食事に過敏性があることや無添加の食事をとっている児の行動や認知機能に変化はなかったとしています。

 16の報告の検討では、砂糖は行動や認知機能に影響はありませんでしたが、いくつかのグループでは少ないながらも効果はあり、無視はできないと報告されています。

 2歳~6歳の就学前児童で、親により“砂糖に反応がある”、 ”砂糖に反応がない” と判断した児のグループで、砂糖やアスパルテームを摂取しても活動性や多動に変化は認められませんでしたが、毎日の砂糖の総消費量は多動性の持続と関連していたとの報告もあります。

 さらに、反応性に低血糖になっている可能性も示唆されています。小児では大人と比較して低血糖で認知機能が障害されやすく、大人では血糖が<54㎎/dlまで認知機能が保たれるが、小児では<75㎎/dlで行動や聴覚を使った認知機能が大きく減少する可能性があります。注意をコントロールする脳は前頭葉ですが、低血糖になっている間は他の部位に比べて前頭葉が過活動になっていることが知られています。

砂糖とADHD児の多動に関しては世界中で親からの報告がありますが、実際の試験では証明されていません。


・“Healthy” diet patternにおけるADHDの治療と予防

オーストラリアで子供を出生から14歳まで追跡した試験では“Western Dietary Pattern”(脂肪、飽和脂肪酸、砂糖、塩分が高値、ω-3脂肪酸の低値、繊維質、葉酸の欠乏)はADHDの診断と関連しており、“Healthy dietary pattern”(魚、野菜、フルーツ、豆、全粒粉製品)はADHDの診断とは関係ありませんでした。

 しかし、Western Dietary Patternは家族の不仲、精神状況の悪化、高脂肪のお菓子を与えているなどの他の要因が絡んでいる可能性があります。

ADHDに対する薬や行動療法に対する代替治療やサプリメントは多数ありますが、食事療法を行う場合は

① 薬で失敗したか副作用がでた

② 両親や子供の好み

③ ミネラル欠乏の症状やサインが出ている

④ 食事療法の必要性がある場合

などの時に考慮されるとされています。


食事療法は改善しやすいADHDの1つの環境病院論ではあります。

これらの研究結果からは、特定の原因や食生活の改善を図ることが出来れば、ADHD治療の代替え方法となる可能性がありますが、追跡期間も短く、現時点では効果があるとは言えません。今後も検討していくことが必要です。


参考文献
The Diet Factor in Attention-Dificit/Hyperactivity Disorder
 Pediartrics 2012;129:330-337 から抜粋