自閉症児のマネージメント その②

Specific Strategies

自閉症スペクトラム障害児の教育プログラムには、様々な方法論があります。

最近報告されているコミュニケーション、社会技能、不適切な行動を減らす方法の簡単な要約を下記に記載します。

Applied Behavior Analysis(応用行動分析)

応用行動分析は、その経験による心理学研究から全体的な行動の変化とその手法の使用で注目すべき行動の変化を引き出すための学習の原理に基いた応用方法である。

 ABAは、望ましい行動を増やし維持し、不適切な行動を減らし、不適切な行動がおきる状況を狭め、新しい行動を教え、新しい環境や状況での行動を般化する。ABAは自宅、学校、コミュニティーに関連した状況の範囲で、信頼出来る評価方法と観察可能な行動と客観的評価に重点を置いている。ASDにおけるABAをベースにした介入効果は、ここ50年でsingle-subject手法を用いた研究や大学やコミュニティーにおける集中的介入研究で報告されている。早期集中介入を受けた子供達は、社会的行動の評価として十分なIQ、学業成績、適切な行動を獲得、維持しており、それらの結果はコントロールと比較してずっと良かった。

カリフォルニア大学ロサンゼルス校のロバースが発展させたYoung Autism ProjectのようなASD児に対する早期集中介入は、ディスクリートトライアル(DTT: discrete trial training)に重点を置いてきたが、これはABAの数ある手法のうちの一つでしかない。

*これまでのABAはイコールDTTのように扱われ、DTTこそがABAであるという主張がわが国でも繰り広げられているが、そうではありません。(平岩:註)

DTTは他の様々なスキルと同様に、注意、コンプライアンス、模倣、弁別の学習のような根本的指導方法によって学習準備を確立させることに有効である。
 しかしながらDTTは学んだ行動の般化においては、日常での自発的な使用と教育目的に設定された状況は自然な大人と子供のやり取りではないとも非難もある。

*DTTの負の遺産は助詞が入りにくいこと、おうむ返しが外しにくいこと、般化が 困難であるなどの課題を抱えてきました。(平岩:註)

古典的ABAの技術は、これらの問題を取り扱うために修正を重ねてはいる。

機会利用型(機軸反応訓練)や定型言語発達方法/応答練習のような自然な行動介入を目指す練習は、そのスキルの般化をより強化できる可能性はある。

*ここでいう機会利用型はincidental teachingとPRT(pivotal response training) との両方を含んでいると思われます。この論文が書かれた時点ではPRTはまだ大きな潮流にはなっていませんでしたが、DTTでは般化がうまくいかないことが多いことから、自然な行動介入として挙げています。このあとにデンバーモデルなどPRTのさまざまな応用方法も出てきました(平岩:註)


機能的行動分析や機能的評価は、望ましくない行動に対する行動学的要素を基礎とする対処の重要な一面である。ほとんどの問題行動はいくつかのタイプの順応機能の役目を果たしていたり、その行動の結果によって強化されていたりする。

 つまり

(1)大人への注意引き
(2)希望する物、行動、感覚
(3)自分に望ましくない状況や感覚からの逃避

を得るような状況である。

機能的評価は、行動学的な効果と効率を最大にするための厳格で経験による情報評価方法に基いている。そこには、系統だった明確な問題行動(時に起こる、頻繁に起こるを含む)の記述、行動を維持する前後関係や他の環境要因の特定、行動を進める要因の明記、その行動仮説を調べるための直接的に経過を追えるデータの収集を含んでいる。
 機能的評価は望ましい行動の頻度を増やすことに関連した行動の前後関係の明確化に有効であり、このため新しい適応行動を引き出し易い。


Structured Teaching

Schoplerとその仲間たちによって発展したTEACCHは、物事の構造化に重点を置き、structured teachingと呼ばれている。
structured teachingの重要な要素は、身辺状況、予想できる行動の結果、見てわかるスケジュール、柔軟性のある日常業務、仕事/活動の体系化の構築、目に見える活動の構成の概念を有し、系統立てている。ASD児の個々の技術を改善し、苦手な部分を周囲に適応させるために環境を構築することの両方に重点が置かれている。

いくつかのレポートでは、TEACCHを受けた子供達の進歩と同じくらい親の満足と教育スキルの改善が報告されているが、これらの報告はTEACCHと比較した他の方法の記載がありません。

比較研究ではOzonoffとCathcartがTEACCHの家庭プログラムを4ヶ月と地域のデイサービスを受けた子供達は地域のデイサービスだけを受けた子供達より著名に改善が認められたと報告されています。



参考文献
Management of Children With Autism Spectrum Disorders
Scott M. Myers and Chris Plauché Johnson
Pediatrics 2007;120;1162;より抜粋