良いスクリーニングテストはあるか?

 特に自閉症スペクトラム障害の検査において、検査の感度、特異度は子供の年齢や症状の重症度によって変化する。

 幼児に対するスクリーニングツールは就学前や就学時に使用するには感度が低いかもしれない。The Checklist for Autism Spectrum Disorders in Toddlers (CHAT)はイギリスで18か月児に対する第一選択として改良されてきた。CHATはjoint attention(共同注視)と模倣の14項目からなり、9つは親の評価、5つは評価者の直接の評価による。CHATは特異度が98%(自閉症の診断が十分に除外できれば、ほとんどの子は自閉症を持っていない)だが、感度が20%~38%と低い(その子は自閉症であると十分に証明が出来ない)。16235人の18か月の子供で調査した時に、CHATは軽症の症状と退行症状をもつ子供を発見できなかった。加えて全般的な発達の遅れと自閉症の区別が出来なかった。CHATは24か月での適応で感度が上昇する。しかしながら、全般的に低い感度と5つの行動を観察する必要性がCHATのスクリーニングツールの有用性を制限している。

 Modified CHAT(M-CHAT)は、16~30ヶ月の子供が健診に来た際の自閉症のスクリーニングツールとして改良されたものである。M-CHATは23項目のyes/noの質問から成り立ち、記入には5分程度を要している。M-CHATは99%の高い特異度と85%の感度がある。しかしながら、これらのデータは1293人の子供(1122人は生後18ヶ月時の検診で調査され、171人はハイリスク児、つまりDSM-IVで診断は受けていないが、早期介入スクリーニングを受けている子供達)から成り立っている。後に述べるハイリスクグループの子供達は感度がかなり大きく上乗せされて報告されていた。M-CHATは100人自閉症児のうち15人は判定することが出来ないと警告の上で、有用なスクリーニングツールであり続けることが必要である。CHATとM-CHATはレベル1のスクリーニングツールである。この2つは一般人口から自閉症のリスクを持つ子供達を判定することに使用される。

 以前には自閉症のスクリーニング質問票として知られていたThe Social Communication Questionnaire (SCQ)はADI-Rから発展したもので、自閉症の研究ではしばしばゴールドスタンダードとして知られている。SCQは40のyes/noの質問を含む、両親の報告によるスクリーニングであり、6歳以下の子供と6歳以上の子供の2つの形態がある。SCQは主にメインの養育者に10分以下で完成させてもらい、5分以下で点数をつけてもらう。

 SCQはADI-Rの基準ですでにASDと診断されていた4~40歳の200人から得られたものから成り立ち、そのうち160人は両親がASDと診断されていた人でもある。SCQのADI-Rの基準によるASDの診断に対するカットオフは、それぞれ感度85%、特異度75%である。しかしながら、SCQは早期介入や発達外来におけるレベル2のスクリーニングツールである。養育者や検査者が使えるテストはthe Pervasive Developmental Disorders Screening Test-2、the Child Development Inventory、the Infant Development Inventory、language and cognitive screening toolsなどの多くの自閉症スクリーニングツールがある。

しかしながら、すべての人に対するスクリーニングとして考えた場合、精度、高い感度、高い特異度の全てを満たす検査は現時点では示されていない。


参考文献
Early Autism Detection: Are We Ready for Routine Screening?
 Pediatrics 2011;128;e211 から抜粋