自閉症スペクトラム障害児の胃腸のコンディション

 自閉症スペクトラム障害の行動問題は、様々な神経発達障害により成り立つ。
消化器(胃腸)症状と自閉症スペクトラム障害の原因は推定であり論争中ではあるが、消化器(胃腸)症状(例えば、腹痛、不快感、吐き気など)が自閉症スペクトラム障害児の行動の原因になっていることが気ずかれていないだけのこともとの報告もある。

 報告によってばらつきがあるが、消化器(胃腸)症状をもつ自閉症スペクトラム児の割合は9~91%、腹痛や腹部不快感は2~41%、便秘は6~45%、下痢3~77%、慢性下痢は8~19%と言われている。しかし、これらすべての研究報告を評価するには研究方法論として難しいものがあり、いくつかの条件を理解しておく必要がある。

 自閉症スペクトラム障害での腸管機能の関係は種々の説があるが、現在疾患自体の原因となるような、はっきりと証明されたものは認められていない。

下記に論文の要約を記載します。

・自閉症スペクトラム障害における胃腸の状態は、定型発達児と同じである。
・自閉症スペクトラム障害児の胃腸障害がよくあるのかは、はっきりしない。
・自閉症スペクトラム障害児は、胃腸障害について評価を受けるべきである。
・自閉症スペクトラム障害の免疫機構異常が証明されている研究もある。
・自閉症スペクトラム障害での胃腸症状は、免疫機能が根本にある。
・セロトニン※の変化は不安、胃腸症状、骨病変に関連があるかもしれない。
・栄養異常と骨密度変化を証明した研究はあるが、原因ははっきりしない。
・自閉症スペクトラム障害児における胃腸症状に特有の治療はない。
・自閉症スペクトラム障害の胃腸症状は、治療の反応がよい。
・明確に病態解明へ挑戦する方向性をつける研究が、未だ必要とされている。



腸管機能に影響あるホルモンではセロトニンがある。最近では、このホルモン異常が小腸の炎症に関与してたり、骨成長に影響があるとの報告もある。自閉症スペクトラム児では、消化管や骨の病気もある場合があり、セロトニンのシグナル変化がある可能性が指摘されており、これが、自閉症スペクトラム児の消化管問題に寄与している可能性はあるが、あくまでも可能性に過ぎない。



参考文献
Daniel L. Coury, Paul Ashwood ; Gastrointestinal Conditions in Children with Autism Spectrum Disorder: Developing a Research Agenda
Pediatrics 2012;130;