自閉症スペクトラム障害の症状と療育の原則について

 自閉症スペクトラム障害は、「社会的相互作用の質的な障害」、「コミュニケーションの質的な障害」、「限定された興味や活動の障害(こだわり、想像力の障害)」が、その症状の中心となります。

 この中でも高機能自閉症は知的障害がない、つまり世界的にはIQ70以上のグループとされていました。知的障害を伴う場合には単に自閉症スペクトラム障害を言います。高機能自閉症でも、知的障害がないものの、対人関係をはじめとする社会生活上の困難を抱えることが多く認められます。

 中心となる症状の社会性の障害とは、人とかかわること(目を見る、視線を合わせる、手をつなぐ、体に触る、同時に何かの対応をするなど)、急な予定や計画の変更に対応するなどがあります。コミュニケーションには言語的、非言語的の2つがあり、言語的には話す、聞く、読む、書く、非言語的には表情や声を理解する、視線を合わせる、身振りや手振りを理解するなどになります。また、こだわりは物や対人関係もあり、想像力の障害では、例えば「目はくちほどに物をゆう」が理解できなかい、静かにする場所かどうかなども理解が難しいことがあります。

 次に、どのような場合に自閉症スペクトラム障害を疑うのかを考えてみます。

自閉症スぺクトラム障害を疑った際の症状には、年齢的なもの、発達の度合いを十分に考慮しなければなりません。症状が当てはまるだけでは診断は出来ませんので、十分に主治医を相談する必要があります。

幼児期と学童期以降で別けたときの症状を参考に記載します。


【幼児期で自閉症スペクトラム障害を疑うとき】
・自発語がない
・声を自発的にほとんど出さない
・視線が合わない、横目でものを見る
・物には興味を持つが、人には興味を持たない
・指さしをしない
・クレーン現象がある
・反復性行動がある
・飛び跳ねる、くるくる回るなどの行動が目立つ
・回転するもの、縞模様などにこだわる
・表情の変化が少ない
・特定のものの感覚にこだわる
・スイッチを入れたり、切ったりなどの動作を続ける
・動作や音声の真似をしない
・大きな音や特定の音に敏感

【幼児期の高機能自閉症を疑うとき】
・抑揚のない話し方をする
・一方的に話し、質問に答えられない
・会話が上手くできない
・身振り・手振りなどが理解できない
・感情の表現や理解に困難がある
・感情のコントロールが苦手である
・集団での指示に従えない
・抽象的な指示・表現が理解できない
・友達が出来ない
・視線が合いにくい
・興味のあるものには過剰なほど集中する
・表情の変化が少ない
・感覚過敏がある

【学童期以降の高機能自閉症を疑うとき】
幼児期に加え

・得意なこと、不得意なことの差が大きいなど社会性が問題になる。
・症状を的確にとらえて、それにそった早期療育を始める。

この概念がなければ、その子を「暖かく見守る」ことになります。

これは、何もしないことであり、子供の成長や療育に適した時期を逃します。


療育の目的は、

「知的能力を含めた、それぞれが抱える社会困難性を軽減すること」

になり、自閉症スぺクトラム障害を抱えた場合には、どのようなことが困難になるのか、どのような支援が必要になってくるのかを考えることが必要となります。このために、年齢別の症状や社会生活で問題になってくることの把握をもとに療育を計画していく事が大切になってきます。


参考文献
1)平岩幹男:自閉症スペクトラム障害―療育と対応を考える
2)Landa, R, Garrett-Mayer, E: Development in infants with autism     spectrum disorders a prospective study. J Child Psychol Psychiatry 2006;  47:629.
3)Johnson, CP, Myers, SM: Identification and evaluation of children with  autism spectrumdisorders. Pediatrics 2007; 120:1183.