自閉症スペクトラム障害児の睡眠障害について

 自閉症スペクトラム障害児達の中で睡眠障害がある子ども達は、睡眠障害がない子ども達に比べて、問題行動が内在的、外在的に出てくることになり、適応行動(Adaptive Behavior:コミュニケーション,日常生活技術、社会性、巧致動作)が弱くなりますし、重度の睡眠障害を持つ子供達は、大きな行動の問題を持っています。

 自閉症スペクトラム障害児では50~80%が睡眠障害を持ちますが、特に寝つきと睡眠の維持に加えて、睡眠パターンの不規則化、早朝起床、睡眠時間の短さが問題となります。自閉症スペクトラム児が睡眠障害を抱えたまま成長すると、親は日中の問題行動、感情問題、認知機能にネガティブな意見を持ていると報告されていますし、睡眠障害は感情障害、イライラ、自傷、攻撃には関連し、いくつかの研究では睡眠障害のマイナス面が強調され、日常生活との関連も確立されているとしている研究結果もあります。

 MayesとCalhounの報告でも、睡眠障害のある自閉症スペクトラム児は無い児より、自閉症状、他動、感情の起伏、攻撃性がより強いとされ、Malowとcolleaguesは睡眠障害と不注意、他動、習慣行動、自傷、感情問題は関連していると報告しています。また、行動と睡眠習慣は年齢により変化するので、日中の生活機能との関連はより重要なものになってきます。

 この研究では問題行動だけでなく、適応行動や以前の研究では注目されていない部分にも評価を置いています。14の施設から4~10歳の1193人を集め、睡眠障害と日中の行動について評価、Children’s Sleep Habits Questionnaireを使用しての両親評価では、睡眠障害と日中の問題行動とは睡眠障害がない>軽度>中等度~重度と点数が下がっており、睡眠障害に比例して、望ましくない行動との関連が示されています。                          特に自閉症スペクトラム障害の中核をなすコミュニケーションと社会性は、より負の関係にあったそうです。両親が睡眠障害がないと評価している子は言語、注意、社会性に問題があると報告され、睡眠障害があると評価している子はこの他に、他動、感覚の問題、不安、食行動、自傷行動の報告がありました。年齢的には就学前と後の子供達で行動と睡眠の関係に違いは出なかったが、睡眠と適応力の関係は明らかとなっています。

 このことからは、逆に不安や感情問題が軽減出来ると、良眠が得られる可能性が示唆されます。今後の研究課題としては睡眠障害が改善すると適応行動が改善するといったものを期待したいと思います。 

 さて、一般論として自閉症における睡眠障害は臨床的に2つの型があります。

過眠(1日12時間以上)と少眠(6時間以下)を繰り返すタイプ、連続して2時間以上の睡眠を持続させることが困難なタイプです。

成人と同じような睡眠導入剤を使うことは小児では困難ですので、そのために昼間の生活もうまくいかないようであれば漢方薬である抑肝散、個人輸入でのメラトニンを使用する場合もあります。

 上記は一般的な見解であり、それぞれの子供達によって大きく異なりますので、気になる場合は主治医と十分に相談して下さい。



参考文献
・Darryn M. Sikora, PhD,Kyle Johnson, MD,Traci Clemons, PhD,and Terry  Katz, PhD:The Relationship Between Sleep Problems and Daytime     Behavior in Children of Different Ages With Autism Spectrum Disorders  Pediatrics 2012;130:S83–S90