小学校入学前に身に付けたい挨拶について

 挨拶はコミュニケーションの1つであり、また挨拶が上手くいくと印象が大きく変化するためにコミュニケーション開始の効果的なツールでもあります。
 
このため小学校入学前に身に付けておきたい頻用度と重要度が高い挨拶は、

「おはようございます」、「こんにちは」、「こんばんは」、「おやすみなさい」、「さようなら」、「ありがとう」、「ごめんなさい」の7つです。

これを可愛く「あいさつ7」と呼びましょう。

この7つを教える際には、まず第1段階と第2段階に分けて考えます。


① 第1段階

「おはようございます」、「こんにちは」、「こんばんは」、「おやすみなさい」「さようなら」

「おはようございます」について、日本語の場合は上下関係や状況などで「おはよう」と「おはようございます」は変化させなければならないため、使い分けることが難しい自閉症スペクトラム障害児達では統一した方がトラブルがありません。これらは使用する頻度も高いので、般化(色々な状況でも使えるようにトレーニングすること)も簡単に出来ますので、まずこの5つをマスターすることを目標にされると楽だと思います。

この場合も必ずスモールステップを使い、必要であれば「お・・おは・・・おはよ・・」などのプロンプトを使うと良いと思います。なにより、「おはようございます」は言った本人の気分がよいとの報告もありますので、確実にこの5つは身に付けさせましょう。

②第2段階

「ありがとう」、「ごめんなさい」

 子供全般に言えることは、自分にとって行為の意味が解らないことはやりたがりません(代表が勉強です)。特に「ありがとう」、「ごめんなさい」は、親が行っていることを見て、自分が声をかけてもらって学ぶと言われています。療育を焦るあまりに、どうしても大人が言うより先に子供に強制してしまうことが多いですが、まずは親や周囲の大人が見本を示すことが、自閉症スペクトラム障害に関わらず大切なことです。


③ 第3段階 高機能自閉症児向け
 
 「ごめんなさい」に関して注意が必要なのは、失敗や喧嘩など何でも「ごめんなさい」が習慣になってしまうと、セルフ・エスティームが確実に下がりますし、学校で口が立つ子に挟まれると何でも自分のせいになってしまいます。暴力があった場合の考え方は別ですが、大人が見ていて非があると思った時でも、まずは辛抱強く子供の意見を聴取し、なぜそうしたのかと自分の意見を言えるようにトレーニングすることも第3段階になると必要となってきます。そうすれば、なぜ謝らなければいけないのか、どういった場面で使用するように促すのかを理解させるヒントが生まれます。

ここで、挨拶が上手くいかない場合も考えてみましょう。

子供達にとっては「出来ない」のと「する気がない」の2つに分けられます。

大人からみるとどちらも一緒ですが、「出来ない」は「怖い、恥ずかしいなどの感情的な面での出来ない」か「やり方や挨拶する場面を理解していないこと」に分解できます。「する気がない」のはそのままで、子供の気分や年齢的な発達段階における場合もあげられます。この2種類を出来ない時には考慮しなければなりませんが、慣れない場面では、定型発達の子でも声が小さかったり、まごついたりするのが普通です。

失敗させないためにも安心できる環境でトレーニングをスタートし、親から挨拶するなどして子供に安心感を与えてから始めることも、挨拶を成功させるためには大事な要因となってきます。



参考文献
・平岩幹男. 幼稚園・保育園での発達障害の考え方と対応 役に立つ実践編 
・平岩幹男. 自閉症スペクトラム障害 療育と対応を考える 
・高橋六二. 「あいさつ」の現在―「あいさつ」の発生(4) 
  コミュニケーション文化 4号, 73-80, 2010-03-18