ちょうど良い対人距離について

自閉症スペクトラム障害児では、対人関係の距離感をつかむのが難しい場合が多くあります。日常生活で、近すぎる距離は不快感を生じ、遠すぎる距離は違和感を生じます。対人関係で損をしないように、他人との距離について考えてみましょう。

 対人距離とは、すなわち個人空間のことです。特別な関係がないのに、他人がこの範囲を越えると不快感が生じます。

Hallはプロクセミックス論で、人間が使い分ける距離を「密接距離」、「個体距離」、「社会距離」、「公衆距離」の4つに分類しました。


1)~45cm(密接距離)
ひそひそ話をする距離です。親しくない人だと、不快感を感じるとされています。

2)45~120cm(個体距離)
お互いが手を伸ばせば届く範囲内で、100cmくらいが初対面であっても違和感のない距離です。

3)120~360cm(社会距離)
手を伸ばしても触れない距離で、仕事上などの距離になります。

4)360~750以上cm(公衆距離)
講演会での演者と聴衆くらいの距離です。


年齢、親しさ、性別(女性<男性)人種の違い、居住空間の違い、警戒心なども距離に影響を与えると報告もあります。


では、どのくらいの距離が適切なのでしょうか?


状況によっても変わりますが、

上記「個体距離」の中でも100cm位が他人との会話だと考えられます。

掌でタッチ出来ると100㎝くらいになりますので、この距離を習得します。


次に近い30㎝程度の近い距離は「家族だけ」として離れること、100㎝以上の距離だと「声が聞こえない」ので近くことを練習し、褒めながら習得して行きます。

小学校以降では、不適切な距離は困ることも多いので、状況に合わせた距離をパターン化して練習していきましょう。


外向性が高いほど対人距離は小さくなるとの報告もありますので、良い方向に向くようにしたいものです。



【参照文献】
1)パーソナル・スペースの基礎的研究(I):鎗木晶夫
2)村澤宏亮 2010 服装とパーソナリティが対人距離に与える効果
  関西大学社会学部土田昭司ゼミナール卒業論文
3)Ha1l,E.T.The Hidden Dimension.Doub-leday.1966
4)So㎜er,R.Personalspace:Thebehaviora1 basis ofdesign.
  Prentice-Hall.1969
6)自閉症スペクトラム障害 療育と対応を考える:平岩幹男