自閉症スペクトラム障害児の問題行動を減らす方法について②

行動には理由があります。

行動の前には全て理由があってその行動が起き、理由があってその行動を起こさないことになります。

行動の結果が、本人にとって良いこと(もしくは嫌なことが消える)であれば、繰り返されますし、悪いこと(もしくは良いことが消える)なら、行動は減ります。

行動の結果により繰り返されることを「行動随伴性」といいます。


「ある理由で行動が繰り返されること:行動随伴性」を分析することを、
ABC分析(先行刺激;antecedent stimuli(A)→行動:behavior(B)→後続刺激:consequent Stimuli(C))と呼びます。

つまり、問題行動をやめさせたい場合には、「B:行動の前後」を分析してみます。

【例】
オモチャを使った遊びの時に、友達に暴力をふるうようになった。

この子にとって「暴力といった問題行動」が何を意味しているか考えます。

「暴力といった問題行動」はその子にとって、

「オモチャが取られない、手に入る」

といった大切な役割を持っています。


ABC分析をしてみます。

【A】自分が使いたいオモチャが使えない、取られた。

【B】友達を叩く、噛みつく。

【C】オモチャが自分の手に入るようになった。


以上のように、暴力でオモチャが手に入った(強化された)ために、行動を繰り返しているのではないかと予想が立ちます。


この予想をすることが重要です。



【対策】
この場合の問題行動【B】の解決の仕方としては、「ほめながら」、「スモールステップで」、「失敗させない」ことを考えます。

① 「貸して」、「あとで」の練習する。「貸して」、「あとで」のしぐさと
 【B】の叩いたりすることは同時には出来ない

② 暴力を振るわなかったこと以外を全て褒める(強化する)。

③ 暴力を振るいそうになったら、子供を止めて、要求しているものが手に入らないようにする。暴力では手に入らないことを学習する。

④ 暴力をふるったら、黙って一時的にその場を離れさせる(タイムアウト)


 上記は、「暴力をふるわずに、おもちゃが取られない、手に入る」こと【C】に到達するためのスモールステップの過程であると考えられます。

①は暴力がない状態で要求するものが手に入りますが、②、③、④については暴力を振るわないようになるだけで、「要求しているものを手に入れる」解決にはなりません。暴力をふるってしまってからでは遅いですが、④→③→②→①の順番でさかのぼれば、スモールステップを踏み、暴力も振るわず、目的を達成する過程を辿ることができます。

叱るのではなく、問題を考えて対策を講じることがポイントです。

最初から上手くいくことは少ないでしょう。


理由をよく考え、ABC分析をトライ&エラーで繰り返すことで対応します。
最終目的は行動を変えることや良い行動を習慣付けること、つまり「良い行動随伴性」を強化するための流れを作ることです。



【参考文献】
1: 平岩幹男. 自閉症スペクトラム障害 -療育と対応を考える

2:宍戸恵美子. 教えて、伸ばす!発達障害をかかえた子ども
3:杉山尚子. 行動分析学入門 -ヒトの行動の思いがけない理由
4:P.A アルバート、A.C トルーマン. はじめての応用行動分析
5:カレン・ブライア. うまくやるための強化の原理