自閉症スペクトラム障害児の偏食について③

前回の解説と対策の補足を挙げてみます。

偏食指導は外来でも問題の一つです。

 養育者が強く食べさせようとすればするほど、子供側からは「食べさせられている」強制的な体験を繰り返すことになります。その結果、子供は自己防衛反応によりますます食べなくなったり、遊び食べなど「負のスパイラル」につながります。

決して子供に強制して食べさせたり、偏食が口論の原因になったりしてはいけない理由がここにあります。多くの文献でも、親が楽しそうに食事をすることの重要性があげられています。

人は食べた時に、味覚、臭覚、食感などの複合体が脳で分析され、その人にとって「快」、「不快」、「その中間」に分類されます。どれに分類されるかは人それぞれであり、過去の経験や食習慣、人種差などが影響されます。


 食べ物を「不快」と感じる要因は1つではなく、食感、におい、味、温度などを考える必要があり、自閉症スペクトラム障害児は匂いや味よりも、材料の食感に関してしばしば過敏性があると言われています。

この改善のための偏食対策例としては、好きなものと新しいものを混ぜることもあります。最初に好きなものがくるようにすれば、好き嫌いの軽減に役立ちます。

子供に多くの選択肢を与え、自分で選ばせることも重要です。

 栄養面の配慮は必要ですが、野菜を食べないとしたら3つの野菜のうち1つは自分で選んで食べてもらう、食事の時に多くの種類のものを並べて、その中から選ばせる(これで好きなものと嫌いなものを判別していくことに約立ちます)などがあります。食感に対する感覚過敏の問題がある場合は、つぶして混ぜるなど色々と調理法を試していく必要があります。

大切なのは自分で解決する手助けをすること、食事を楽しくすることです。

養育者は、食事の時間を柔軟性、教育、選択の練習と捉え、食事をアクティビティにしてしまうことで、子供達が新しい味や食べ物に挑戦していくことが楽しくなるようにしましょう。

ボウルにスイカを入れてみたり、野菜やぺパロニを使って顔を描いたピザをつくったり、パスタソースでお絵かきをしてみたり、材料をまぜることでどんな色に変化するのかを確かめるなど様々なものがあります。


偏食は食べないだけと決めつけて無理に食べさせることなく、原因をしっかり分析してから行いましょう。


【参考文献】
・偏食はなぜいけないのか その対策
  室田 洋子 小児科臨床 vol.61,no.7 2008
・“Encouraging Picky Eaters with Autism to Try New Foods”
  Emily Kuschner, PhD Children’s Hospital of Philadelphia
  Autismspeaks “GOT QUESTION” November 9, 2012
・“Seven Ways to Help a Picky Eater with Autism”
   Autismspeaks May 7, 2013
・“Nutrition and Autism”  
  Autismspeaks February 07, 2013
・“Dietary Management of Autism Spectrum Disorder”. Elaine Isherwood BSc SRD, Katie Thomas Dip D SRD, Beverley Spicer BSc SRD. the British Dietetic Association Specialist Paediatric and Mental Health  Groups
・”料理の科学 素朴な疑問に答えます”. ロバート・ウォルク著、ハーパー保子訳
・“Sensory Abnormalities as Distinguishing Symptoms of Autism Spectrum Disorders in Young Children” Lisa D. Wiggins.etc”. J Autism Dev Disord(2009) 39:1087-1091