数を学ぶこと②


子供達をサポ―トする際には、「数を理解する発達過程」を理解していないと始まりません。

その点について考えてみましょう。

 数唱(数を数えられる)ができても、小学校入学前では数の概念を理解している訳ではありません。それは順序数(1から順番に数える)ならばできても2つと3つでいくつという概念数が理解できているとは限らないからです。多くの子どもたちは順序数から覚え始めて概念数へと入っていきます。定型発達の場合におおむね4~5歳くらいから概念数の理解が始まってきます。


では、数の概念はどうのように身に付くのでしょうか?


王は、幼児の数概念は日常生活の経験から獲得されるのであって、学校や机上で獲得するものではないことを過去の論文の分析から提唱しています。このことは、幼稚園での活動や幼児教育の問題集や雑誌が日常経験を重視していることからも垣間見ることができます。

 一方で、計算などは繰り返しの練習で身に付けるものとされ、GelmanとGllistelは計数の5原理を提唱し、①1対1対応、②安定した順序;用いる数詞はいつも同じ順序であること、③基数性:数えた最後の数詞が全体の数を表していること、④順序無関係:どの数字から数えても同じ順序で数えられる、⑤抽象性:形や色が違っても正しく数えられることを提唱しています。


 この観点でみると、多くの幼児用問題集がこの要素を含みとこの順番で構成されていることが解ります。赤松らはその実験で、各年齢における凡その計算の仕方や数認識の仕方に大きな違いがあることを述べていますが、繰り返しの練習で身に付けるときには、当然赤松らの報告のような年齢的発達を考慮しなければなりません。


もう一つ大事なことは、成功体験、つまり失敗させないことです。
 

 ここで、M.KIMBALLらがアメリカの小学校算数において、得意・不得意と感じている子を成績の伸びから分析した例を見てみましょう。


最初から数学で良い点を取り続けた子はその後も数学が好きになるから勉強する、良い点が取れなくて比較の対象となってしまった子は「自分は出来ない」と思い込み、その後の成績も伸びないことが解っています。
 このことは、単に小学校入学時点での予備知識(入学前に身に付いていた)によるものですが、子供達はそれに気が付くことなく、「自分はできない」思い込んでしまうことを指摘しています。つまり、最初に良い点が取れた成功体験なのか失敗体験なのかが大きく影響していることになります。

上手くいく箇所・つまづく箇所は、それぞれの子供達が置かれている環境や理解度合いによって大きく変わります。


困っていることは、悩んでいるだけでは解決しません。


主治医もしくは担当セラピストやメーリングリストなどで、早めに相談するようにしましょう。

 


【参考文献】
1) 王暁㬢:幼児・児童における数概念の発達に関する研究展望-計数と 加法の発達を中心にー. 早稲田大学教育学研究科紀要 別冊16号 2   2009年3月
2) Gelman.R, Gllistel.C.R : The Child understanding of number. Cambrige, M.A; Harvard University Press.
3) 赤松可容子、近藤文里:知的障害児の数概念の発達(1)志賀大学教育  学部紀要 教育科学 No.55 P17-29, 2005
4) 自閉症スペクトラム障害 -療育と対応を考える-. 平岩 幹男
5) M.KIMBALL, NOAH SMITH: The Myth of I'm Bad at Math. 10.28.201
The Atlantic
6) 多鹿秀継:知識の構成からみた加法の概念と技能の発達. 愛知教育学 教育実践総合センター紀要 第10号P61-67 2007年2月
7) Z会小学生わくわくワーク 入学準備さきどり編 2014年度:Z会
8) Z会小学生わくわくワーク 入学準備これだけは編 2014年度:Z会