自閉症スペクトラム障害児は増加しているか?

 アメリカ、日本、韓国、台湾、ヨーロッパなどで自閉症スペクトラム障害を抱えた児が増加しているといった報告を最近よく見かける方も多いかと思います。

簡単に概要を見てみましょう。

 アメリカでは長く自閉症スペクトラム障害は増加していないと言われ論争されていた時期もありました。これは、実際に増加しているのか、診断基準が広まり診断される児が増えてただけなのかといった論争が基になっています。しかし、様々な理由からの「実数は増加していない」との説だったのですが、近年はアメリカでの疫学調査の研究も発表になっています。(増加に関しての知見については、American academy of pediatricsや代表である平岩の著書など専門文献をご参考ください)。これは罹患率に人種差はありますが、多くの国で同様の傾向にあるようです。

 アメリカでは2010年の時点での8歳時の14.7人/100人(68人に1人)が自閉症スペクトラム障害であると診断を受けていると発表されています。性差では、男児は1/42人ですが、女児では1/189人と約4倍の違いがあり、原因はわかっていません。小学校全体で見てみると、2002年には0.5人/1000人が自閉症スペクトラム障害児と診断を受けていたのに対して、2008年には7人に増加しています。2012年の報告では2年間で23%、2002年からみると70%以上の増加となっています。

現在日本では300~400人に1人と考えられており、30年間で10倍以上の増加となっています。

 次に、兄弟が自閉症スペクトラム障害を抱えている場合をみてみます。報告によりばらつきがあり、双子だと一卵性で36~95%、二卵性で0~31%が、1人が自閉症スペクトラム障害であればもう一人も自閉症スペクトラム障害と診断されることを示しており、兄弟であれば次の子は2~18%で自閉症スペクトラム障害と診断されていました。

 知的レベルからみてみると、IQ ≤70:31%、IQ = 71~85:23%、IQ >85:46%であり、日本では、河村らが66.4%が高機能群であったと報告しています。

自閉症スペクトラム児の増加原因説は様々あり、はっきりと断定できる原因は解っていません。

しかし、この自閉症スペクトラム障害を抱えた子どもが増加していることはただ単なる警鐘ではありません。

アメリカ小児科学会も提唱している早期診断、早期療育が積極的に子供達に望まれる事を示しています。



【参考文献】
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