保護者と子どもの関係 親の教育観①

 保護者のどういった態度が子どもに良い影響を与えるのかを、データと共に考えてみましょう。

 ウォルター・ミシェル1)は、マシュマロ・テストで子どもの将来の成功が自己抑制と関連していることを述べています。

どうすれば「自己抑制が発達する」のでしょうか?

森下や柏木ら2)3)は、自己制御を以下の「自己主張」と「自己抑制」の2つに分類しています。

自己主張:自分の欲求や意思を明確にもって主張し、
     他者や集団の中で協調的に表現する。

自己抑制:社会的場面において自分の欲求や行動を抑制・制止しなければならないときにそれができる。

どちらも自分の子どもには身につけて欲しい内容です。

森下らが行った研究では4)、母親の「有効である態度」が示されています。

それは、


「子どもへの受容が高いこと」と「励ましの言葉かけが多いこと」


を重要な点としてあげています。


 この研究では、

「子どもへの受容が高いこと」+「励ましの言葉かけが多いこと」

そして「友達重視であること」

が大切だとしています。

これらは、子ども達の「情動抑制」や「根気我慢」、「自己主張」を高めていました。
 逆にこれが少ない状態、もしくはない状態での「自己抑制の誘導」、「自己表現の誘導」や「甘やかし」は、何の影響もないばかりか、これらを低下させることを示していました。


ごく簡単に解釈すれば、「親」が子ども自身を認め、その上でポジティブな言葉かけを心がけ、友達を大切にするといった感じです。


ちなみに母親だけではなく、父親も同様だと言われています。

森下は、自己主張や自己抑制の発達は、親がモデルになっている可能性を指摘し2)~6)、母親と同じように父親の影響も強いことを示しています5)。

戸田7)は、父親の養育態度の中でも特に説得的な養育態度が、幼児の園での破壊的行動やいじめと関係があることを述べ、Pearsらは騒ぐなどネガティブな行動をした際に、母親の強圧的応答が多いほど、子どもの心の理論の成績が悪いことを指摘しています。


 つまり、子どもを認めない状態(親がこう言ってるんだからこうだ)で、断定的に行動を決める(これは~しなさい)のは、逆効果であることが予想できます。

思わずいってしまいそうな場面を思い出しますね。

この逆のことをすれば、子どもの成長に効果がありそうです。


次回では、この点についてもう少し考えてみたいと思います。



【参考文献】
1) ウォルター・ミシェル、柴田浩之著. マシュマロ・テスト 成 功する子・し ない子. 早川書房. 2015.
2) 森下正康、前田百合香. 児童期の母親と養育態度としつけ方略 が自己制御機 能の発達に与える影響. 発達教育学部紀要.
3) 柏木恵子. 自己制御の発達 心理学評論. 29. 3-24, 1986.
4)森下正康. 子どもの社会的行動の形成に関する研究.1996. 風間 書房.
5)森下正康. 幼児の自己制御機能の発達(3)父親と母親の態度の パターンが幼 児にどののような影響を与えるか. 和歌山大学教育 学部教育実践研究指導セ ンター紀要. 11; 87; P87-100.
6) 森下正康. 児童期の母親の養育態度としつけ方略が自己制御機 能の発達に与 える影響. 発達教育学部紀要
7)戸田須恵子. 父親の養育スタイルと、子どもの攻撃的行動に関 する研究. 北 海道大学紀要教育科学編, 49;63-78, 1993.
8 )園田菜摘. 3歳時の欲求、感情、信念理解:個人差の特徴と母子 相互作用と の関連. 発達心理学研究. 10; 177-188, 1999.
9) Peterson C, et al. Opening windows into mind: Mothers’ preferences for mental state explanations and children’s  theory of mind. Cog  Dvelopment. 18:399-429, 2003.
10)Bornstein, et al. Mother and infant activity and interaction in japan  and in the United States: Ⅱ. A comparative microanalysis of naturalistic  exchanges focusted on the organization of infant attention. IJBD,  13:289-308, 1990.
11)風間みどり、他. 日本の母親のあいまいな養育態度と4歳の子どもの他者理解 ;日米比較からの検討. 発達心理学研究  
 24:2:126-138, 2013.
12)佐藤淑子. イギリスのいい子日本のいい子:自己主張とがまんの教育学. 中  央口論社, 東京.
13)堀場雅夫. おもしろおかしく 人間本位の経営. 日経BP, 2014.