保護者と子どもの関係 親の教育観③

 風間11)は、言葉かけが少なく、養育者が子ども達を外側から見守り自主的な解決を促すのが日本的コミュニケーションは、4歳の子どもといった低年齢の子どもを対象とした時には、あいまいな養育態度になる可能性を指摘しています。

風間は複数の研究を分析し、子どもの心の理論の発達には、①「思う」、「信じる」、「考える」といった心的状態を表す言語を多くすること、②母親から子どもへの言語を用いた解りやすい状況と対処説明が重要であると述べています。
 
 風間らが行った心の理論の成績との相関研究では(曖昧な態度は、親が子どもの行動に気がつかないふりをする、良い行動に言葉かけをしない)、母親の励ましがプラスの相関となり、母親の曖昧な養育態度がマイナスの相関となりました。さらに、母親の曖昧な養育態度は他者理解ともマイナスの相関となりました。


日本での「他者を配慮した上で言葉かけをせず見守る」は、状況により良くない結果をもたらしているようです。


また佐藤12)は、イギリスでの自己主張と自己抑制を高く評価する点をあげています。滑り台の割り込みでは、日本では割り込みに対して抗議した子どもを褒めずに何もしないことを例にあげています。


もちろん周囲の空気を読んでのことですが、良い事かどうかは議論があるところです。


 故堀場雅夫さん13)も、その著書「おもしろおかしく」の中で、「自己主張すること」の大切さを海外の事例をもとに述べており、経験ある方も多いのではないでしょうか?


ここまでみてみると、養育者の態度で重要なのは


①「子どもへの受容が高いこと」かつ「励ましの言葉かけが多いこと」。
②子どもの心に配慮した言語を用いた解りやすい状況と対処説明。
③強圧的態度で強制しない。
④①~③をもとにセルフエスティームを高め、自己抑制と自己主張できるように することを念頭におく。


 子どもに場の状況を読めとゆうのは、発達年齢とそれまでの子育て、親の教育観を考えるべきであり、子ども達は言葉による働きかけを必要としていることは間違いないようです。



【参考文献】
1) ウォルター・ミシェル、柴田浩之著. マシュマロ・テスト 成 功する子・し ない子. 早川書房. 2015.
2) 森下正康、前田百合香. 児童期の母親と養育態度としつけ方略 が自己制御機 能の発達に与える影響. 発達教育学部紀要.
3) 柏木恵子. 自己制御の発達 心理学評論. 29. 3-24, 1986.
4)森下正康. 子どもの社会的行動の形成に関する研究.1996. 風間 書房.
5)森下正康. 幼児の自己制御機能の発達(3)父親と母親の態度の パターンが幼 児にどののような影響を与えるか. 和歌山大学教育 学部教育実践研究指導セ ンター紀要. 11; 87; P87-100.
6) 森下正康. 児童期の母親の養育態度としつけ方略が自己制御機 能の発達に与 える影響. 発達教育学部紀要
7)戸田須恵子. 父親の養育スタイルと、子どもの攻撃的行動に関 する研究. 北 海道大学紀要教育科学編, 49;63-78, 1993.
8 )園田菜摘. 3歳時の欲求、感情、信念理解:個人差の特徴と母子 相互作用と の関連. 発達心理学研究. 10; 177-188, 1999.
9) Peterson C, et al. Opening windows into mind: Mothers’ preferences for mental state explanations and children’s  theory of mind. Cog   Dvelopment. 18:399-429, 2003.
10)Bornstein, et al. Mother and infant activity and interaction in japan   and in the United States: Ⅱ. A comparative microanalysis of naturalistic  exchanges focusted on the organization of infant attention. IJBD,
 13:289-308, 1990.
11)風間みどり、他. 日本の母親のあいまいな養育態度と4歳の子どもの他者理解  ;日米比較からの検討. 発達心理学研究 24:2:126-138, 2013.
12)佐藤淑子. イギリスのいい子日本のいい子:自己主張とがまんの教育学. 中  央口論社, 東京.
13)堀場雅夫. おもしろおかしく 人間本位の経営. 日経BP, 2014