スクールシャドーについて③

では、問題点がある時にはどうしたらよいのでしょうか?

原則を3点考えてみます。

①アセスメント

 子どもに関する情報を集めることが始まりです。
どんな行動が、いつどこで、どのくらい起きるのかを実際に教室や校庭の様子を観察し評価することから始めます。

 評価は具体的にどのような行動があったかを時間経過とともに記載し、問題行動が起きた場合にはその前後の子どもの様子や周囲の反応、対応も記録します。

これをアセスメントと言います。

 アセスメントがなければ、どの行動を伸ばし、どの行動を修正するべきなのかが、不明です。 

 吉野は、スクールシャドーの手順として、「アセスメント→個別教育計画の作成→支援」を1セットにして繰り返すことを述べています。これは計算練習や漢字を覚えることと同様、繰り返し行うことで効果があることを意味し、1回だけでは行動を定着させるには不十分であることを示しています。少なくともやりっぱなしではなく、定期的に評価しましょう。
 

 アセスメントに基づいてシャドーという介入をするわけですが、その介入はあらかじめどの状況ではどのような介入するかを決めておく必要があります。

 
 そうでなければどのような介入が有効であるかの評価につながりません。


アセスメントの内容
子どもがどのような状況で生活しているか
どのような社会的資源をもっているか
強化子は何か?
今現在、どのような適切行動をもっているのか
問題行動は何か?
その行動はどのような意味や目的をもっているのか?

吉野智富美:ABA スクールシャドー入門、学苑社 P57より改編


②プロンプト

 自閉症スペクトラム児においては、学校で問題になることを解決するには手助けが必要な場合も多いです。

それは手助けをしても「うまくできたという成功体験」を積むことが生活上の困難さを減らすことにつながるからです。

 例えば出来ないことを先生に助けを求める際や、クラスメイトとの関わりなどです。この問題を解決するための目的の一つに、プロンプトがあります。Sainatoらは、学校での教師によるプロンプトはかなり有効であり、クラスメイトと教師の両方によるプロンプトはさらに有効だとしています。プロンプトは手助けですので、手助けをしてもらえるような人間関係を設定することも大事です。人間関係は放っておいても勝手にできてくるわけではありません。手助けが必要です。

プロンプトは成功体験を重ねる中で徐々に減らしていくことで、最終的には中止することを目標にしましょう。

③スケジューリング

 学校でのアクティビティでは、目に見えるようしたスケジューリングも有効です。これにより、次にしなければならない課題や活動をスムーズに出来たとHall、MacDuffらは報告しています。これも、どういった場面でのスケジューリングが必要なのか評価して行っていくことが大切です。

 スイスの心理学者ピアジェが、人間の学習・発達は「環境と人間相互作用の中にある」と述べているように(上田信行、中原淳:プレイフル・ラーニングより)、子供達が成長できるような環境と人間関係を作ることを重点的に考えると本質を失わないと思います。



【参考文献】
・監修 山本淳一、著 吉野智富美:ABA スクールシャドー入門、学苑社
・平岩幹男著:自閉症スペクトラム障害 療育と対応を考える、    P156~P177 、岩波新書
・Nurgul Akmanoglu, Elif Tekin-Iftar: Teaching children with autism how   to respond to the lures of strangers. Autism, vol15 (2) P205-222, 2011
・Svein Eikeseth: Intensive Behavioral Treatment at School for   
 4-to7-Year-Old Children with Autism A1-Year Comparison  
 Controlled Study. Behavior modification, 2002
・Kimberly Crosland, Glen Dunlap: Effective Strategies for the Inclusion   of Children With Autism in General Education Classrooms. Behav  
 Modif , vol36(3) P251-269, 2012
・Mark Kretzmann , Wendy Shih, Connie Kasari: Early and Intensive  
 Behavioral Intervention (EIBI) in Autism Improving Peer Engagement of  Children With Autism on the School Playground: A Randomized   
 Controlled Trial. Behavior Therapy P117-137, 2014
・Jill Locke et.al: The Challenges of Implementing an Evidence-Based  
 Social Engagement Intervention for Children With Autism in Urban
 Public School Settings. Behavior Therapy, 2014
・Penny Corkum: Professional Development Needs for Educators Working  with Children with Autism Spectrum Disorders in Inclusive School  
 Environments. Exceptionality Education International, 2014 
・Corkum, P: Professional Development Needs for Educators Working  
 with Children with Autism Spectrum Disorders in Inclusive School
 Environments. Exceptionality Education International, P33-47 2014