書字について①

自閉症スペクトラム障害を抱える場合に、運動自体が苦手な事は多くあります。

運動では、眼・手・足を同時に動かすことが必要です。

これは、それぞれが独立して動くのではなく、同時に動かさなければいけません。

これらが上手く出来ないことを、発達協調性運動障害といいます。

発達協調性運動障害は、5~7歳頃が一番目立ちやすく、10歳を過ぎると目立たなくなることが多いようです。

これらは書字にも言え、学習障害の有無にも関連し、学校生活での困難感につながります。

 深川(参考文献①)は、学習障害を「学校及び生活場面で何らかの困難がある」ということが問題であるとし、その困難性は教師・保護者の主観でもなく、子ども自身に困難が意識されているかいないかという問題でもない。つまり、客観的な指標の根拠を持って明確にされる必要があるとしています。

では、まずは他人が見て解りやすい書字を考えてみます。


笹田(参考文献②)は、書字は第1段階 座位姿勢、第2段階 操作、第3段階 見る、第4段階 認知から成り立つとしています。


書字が上手くいかない時のチェックポイント

 

段階
座位姿勢

操作

見る

認知
  腰を
起こして座る
持ちかたの
クセをなおす
視力の問題だけではない 書字には認知が様々な形関連している
  脚の支えで座りを安定させる 指先の動きをうながす 頭を動かしながら物を見るには、眼球運動が必要 書き順を覚えるには
ワーキングメモリが必要
  体が傾かずに、バランスを保つ 利き手じゃないほうで、紙を押さえる 遠くや近くを交互に診るには、両眼視機能が必要 黒板の文字をノートに
写すには注意力が必要

参考文献②より抜粋


協調というように、これら全部が合わさって「書字」になります。


どれかが欠けると書字は上手く行きません。


 もちろん読みの障害があれば書字の障害は必ず出てきます。

ですから会話の能力に比べて字を読む能力が低い場合にはそちらもチェックする必要があります。

 また筆圧が強い、弱いために書字がスムースでないこともあります。このような場合にはまず板を置いて、その上に紙を置き、筆圧が強すぎる場合には手前を少し高く、弱すぎる場合には先の方を高くするなどを鉛筆や棒などで調節するとうまくいくようになることもあります。


 次回は、特に指先も関連してくる操作に焦点を当ててみたいと思います。



【参考文献】
①深 川 美也子、窪 島 務. 漢字書字に特異的学習困難のある子ど ものスクリー ニング法に関する研究 -滋賀大キッズカレッジ作成 漢字書字スクリーニング 検査の検証-. 滋賀大学教育学部紀要 教 育科学 No. 60, P63-79, 2010.
②笹田哲. 気になる子どものできたが増える 書字指導アラカルト . 中央法規.
③平岩幹男. 自閉症スペクトラム障害 療育と対応を考える. 岩波 新書.