自閉症スペクトラム障害児の脱走対策 対策編①

 個々の子供で脱走の状況と理由を検討していくことで、予防策が大きく異なることをお話しさせて頂きました。


「なぜ脱走するのか」を考えることが原則です


脱走へののリスクマネージメントとして、日常で出来ることを考えておきます。


【脱走で困ること】

 脱走で困るのは、その後の迷子を含めた事故や事件です。

脱走の理由を検討し、行動療法学的にアプローチする効果はConnie らによっても報告されていますが、個別に考えることが原則です。一般的にはこうだといった方法では効果が不十分だとも報告されています。

では、どういった方法があるのかも考えてみましょう。

① 緊急時には、捕まえる

 道路に道路に飛出しそうになった、高所から飛び降りそうになったなどの時には抱きしめるなどで捕まえる必要があります。タイムアウトの要素もありますので、捕まえ方にはコツが必要です。


② 安全ルールを教える

 安全のためのルール(電車の白線、信号など)を教えておきます。まずは、信号の意味について教えることが大切です。信号を守らずに道路に飛び出すとどうなるのかなどを、ただ言葉で説明するだけでなく、その子にとってわかりやすいように教えます。

日本では「青信号」は「緑信号」なので、混乱を招く場合がありますので、色のマッチングが事前に必要です。


③ 言語での指示が守れるようにする

 とっさの時や脱走しそうな時の予防のために「言ったことを聞く、理解する」を練習しておきます。

この時に注意しなければいけないのは、日本語では表現が様々なので混乱してしまうことがあります。例えば英語では“No”でも、日本語では”しちゃだめ”、 ”やめなさい”、 ”いけない”などの多くの表現があります。注意する表現をなるべく決めておくことも有効でしょう。また、こちらの言ったことが守れない状況(興奮しているなど)の時はどんな時なのかも把握しておきましょう。


片側に絵、反対に文字のように、1行で書いてある絵本や紙芝居などを作ることも面白いかもしれません。

例えば)
P1 ミキちゃんは歩道を走るのが好き
P2 お母さんは心配だし、悲しい
P3 走る前に周囲に注意して、角では止まる
P4 皆楽しいし、安全!

Irene van der Zande.“Managing Wandering for People With Autism”より改編


こちらの指示が守れたら


必ず「褒める」こと、守れなくとも「叱らない」こと


を忘れないようにします。



【参考文献】
・Connie Anderson,et al. Occurrence and Family Impact of  
 Elopement in Children With Autism Spectrum Disorders.
 Pediatrics 2012;130;870
・Paul Law. Elopement and Wandering. IAN Research Report April
 20, 2011
・Irene van der Zande.“Managing Wandering for People With  
 Autism”kidpower http://www.kidpower.org
・”Take Me Home” AUTISM SOCIETY http://www.autism-society.org
・Irene van der Zande. “What If I Get Lost?“ kidpower  
 http://www.kidpower.org