自閉症児の兄弟はどう考えているか?

 自閉症スペクトラムに係わらず、兄弟が障害を抱えている場合には、その障害を受容することから始まり、心理的・身体的負担があると考えられます。

Drotar1)は,先天性奇形を持つ親の反応を、①ショック、②否認、③悲しみと怒り、④適応、⑤再起の5段階に分類しています。

しかし、親や兄弟に与える影響は様々であり、当然家庭環境やそれまでの経過にも大きく影響を受けるため、一概には言えません。

 もちろん、診断当初は大きな心理的影響がありますが、果たしてそれはどのような、そしてどの程度の影響があるのでしょうか?

水内2)は、兄弟の場合には、ほとんどが自分で問題を解決し、適応的な社会生活を送っているとしています。  

 しかし一方で、母から兄弟がどう感じているかを評価するには、客観的評価が出来ないこと、情緒的結びつきが不可避であることから、兄弟と母親の間にある自閉症スペクトラム障害児に対する意識や認識のズレを、考慮しなければならないことも同時に述べています。


つまり、母親が感じているのと同じ愛情を兄弟も当然持っているだろう、何でも受け入れてくれるだろうといった想いがあるのではないかと考えられます。


兄弟が思春期ならば感情も複雑でしょう。


水内2)が「各種研究を参考に挙げる兄弟が困惑を感じる状況」は、

・公衆の場でのパニック、こだわり

・行動の理解困難

・他人からどう見られるか


つまり、定型発達の兄弟が、自閉症スペクトラム障害の兄弟に抱く感情は、どの年齢で調査するかで大きく異なることを意味します。


小学生の時と高校や成人の時では、問題解決力や感じ方が全く違いますし、感情や考え方捉え方にも違いで出ます。


 菊池3)は、健常な兄弟がいることが母親の精神的な支えになっていることも述べています。
 一方で、兄弟に病気や障害を持つ子が、親に構ってもらえない時間の少なさに不満を抱いていることや自分達の対応に不満を感じていることが、癌などの治療中の兄弟を対象とした各種研究で述べられています。

 

 家族が落ち着いて過ごしたり、定型発達の兄弟と向き合う時間を時間を作ること、調整することが大切ですね。


次回は、この辺をもう少し詳しく考えてみます。


【参考文献】
1: Drotar,D., Baskiewicz,A., Irvin,N., Kennell,J., & Klaus,M.
 The adaptation of par-ents to the birth of an' infant with a     con-genital malformation :A hypothetical model. Pediatrics,    56(5), 710-717. 1975.
2:水内豊和、片岡美彩. 自閉症スペクトラム障害児・者の兄弟の生涯発 達の諸相(第1報):兄弟と同胞の関係の視点から.富山大学人間発達 科学部紀要. 10(1).89-98.
3:菊池紀彦. 重症心身障害児(者)と家族に対する地域生活支援の現状 と課題. 特殊教育学研究50: 473-482. 2013
4:片岡美彩、水内豊和. 自閉症スペクトラム障害児・者の兄弟の生涯発 達の諸相(第2報):家族関係ならびにきょうだいの将来展望の視点か ら.富山大学人間発達科学部紀要. 10(1).99-109.
5:Yujiro Nakata. A Parental Response to Having a Child with     Developmental Disorders:A Stage Model or Chronic Sorrow?    Waseda Psychol.Rep.,1995 Vol.27 83~

2016年02月19日